はじめに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって亡くなられた方々へお悔やみを申し上げます。また、罹患された方々の1日も早い回復を祈っております。そして、医療現場の最前線で新型コロナウイルスと日々戦っている医療従事者の皆さまや、それぞれの立場で懸命に戦っているすべての人々へ、感謝とエールをお送りいたします。
新型コロナウイルスによって、私たちの生活は変わってしまいました。
多くの企業でリモートワークが導入され、学校は休校となり、国を挙げての一大イベントである東京オリンピックも延期となりました。その中でツール・ド・ニッポンが「今、私たちの愛するサイクリングとはどのように向き合うべきか」ということについて、どう考えているのか?本稿にて記させていただきます。
ここに記されていることは「正解」ではありません。あくまで私たち、ツール・ド・ニッポンはこう考えているということを表明したものであり、各々の環境次第で正解は異なります。本稿をきっかけに、全サイクリストが今一度「サイクリングとの向き合い方」について再考いただけると幸いです。
1)サイクリストが外に出ることを良しと思わない人もいることを自覚する
自転車は比較的「3密」を避けることの出来るアクティビティと言われています。しかし、「趣味のための外出」を快く思わない人が居ることも自覚して、普段より一層細心の注意を払って振る舞いましょう。
2)ソロライドを基本とし、グループライドは行わない
政府が示している「接触8割減」を続けていけば、新型コロナウイルスに感染するリスクを大幅に減少することが出来ます。そのためには、仲間とのライドは極力避け、ソロもしくは家族とのライドを楽しむようにしましょう。それが新型コロナウイルスの早期終息に繋がります。
また、ソロライド中でも、信号待ちなどで他のサイクリストと接近してしまうときの距離はソーシャルディスタンスである2m以上空けるようにしましょう。自転車の1台の長さが約1.8mになるので、1車間以上空けることが重要です。
3)サイクリングは長くて60kmを目安に、疲れが残るようなトレーニングはしない
ソロだからといってロングライドや激しいトレーニングは避けるべきでしょう。高負荷、高強度のトレーニングはあなたの免疫力を低下させてしまい、ウイルスに感染しやすい身体になってしまいます。それでは本末転倒です。
あくまでも「家に閉じこもっているストレスを解消する」ためのサイクリングということを忘れずに、ほどよい負荷でサイクリングを楽しみましょう。
4)「3密」となる場所に立ち寄らない
サイクリングにおいて、途中の休憩は必ず必要です。接触を避けるために休憩無しで走り続けた結果、疲れて落車してしまっては元も子もありません。疲れた時の休憩は必要ですが、場所はしっかり選んで「3密」に1つでも該当する場所は避けるようにしましょう。公園や、河川敷、開放的な空間などでしっかり休憩をとるようにしてください。
5)事故のリスクが高い走り方や走行環境を走ることはしない
医療従事者は日々未知のウイルスとの戦いに奔走しています。そんな時に一趣味としてのサイクリングで怪我をした人が運ばれてきたとき、医療従事者の方々はどう思うでしょうか?そんな事態は避けるために、危険な走り方やリスクの高い走行環境は走らないようにしましょう。サイクリング中に怪我をしないことが医療従事者への最大のエールです。
6)帰宅後の手洗いうがいを忘れない
外出する以上は、どこかで新型コロナウイルスに感染してしまうリスクがつきまといます。あなたは免疫が強く無症状でも、家に居る家族はそうとは限りません。あなたの大切な人を新型コロナウイルスから守るために、帰宅してからの手洗いうがいは絶対に行うようにしてください。コロナウイルスは接触感染もします。あなたが汗を拭いくしゃみをして帰ってきたその手で玄関のドアノブや家族と共用の食器、洗面所のタオルやテレビのリモコンを触ることで家族も感染もしてしまうかもしれないことを十分理解して頭に入れておくべきです。
7)楽しむことを否定しない
今回の提言は「サイクリングを楽しむため」のものです。自転車の楽しみ方は多種多様であり、「速くなればなるほど楽しい人」もいれば、「外の空気を感じることの気持ちよさが楽しい人」もいます。はたまたその両方の人も。他人の自転車の楽しみ方を否定せず、このような状況下でも出来る楽しみ方を各々で判断していくことが必要です。
さいごに
私たちが戦うべきは新型コロナウイルス感染症です。私たちツール・ド・ニッポンでは、主催のイベントがいくつも中止になっておりますが、これも私たちなりの新型コロナウイルスとの戦いです。苦渋の決断ではありましたが、人類が一刻も早く新型コロナウイルスに打ち勝つためにそのような判断をいたしました。
とはいえ、その戦いもいつ終息するのか先が見えず、不安な気持ちを抱いている方が多くいらっしゃると思います。そんな時こそ、私たちの愛するサイクリングでその不安を少しでも紛らわすことが出来たら。そのような想いを込めて、本稿を執筆しました。
止まない雨はありません。絶対に皆さまが各々のサイクリングを楽しめる日は再び訪れます。ツール・ド・ニッポンは、皆さまがサイクリングを思い切り楽しめる環境を目指して、イベントやキャンペーンの準備を進めてまいります。
※本提言は以下の政府発表を踏まえたものです。
・首相官邸「新型コロナウイルス感染症に備えて」(令和2年4月15日)
・厚生労働省「家庭内でご注意いただきたいこと~8つのポイント~」 (令和2年3月1日)
・厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対策の情報分析・提言」 (令和2年4月1日)
・厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年4月11日)